双極性障害(躁うつ病)とは
双極性障害は、従来、躁うつ病と呼ばれていた病気に相当します。双極とは「2つの極」という意味で、双極性障害は躁病の極とうつ病の極の両方をもつ気分障害という意味です。
- 双極性障害の発生特徴
- うつ病相のみの単極性うつ病の発生率が3~5%であるのに対して、双極性障害は約0・6~0・9%と少なく、発病年齢は、双極性が20代にピークがあるのに対して、単極性の場合は年齢層が幅広く分布しています。また、単極性は男女比が1対2と女性に多いのに対して、双極性では男女比は1対1となっています。
躁病相が確認されれば、双極性障害の診断はさほど困難ではありません。しかし、うつ病相のみの場合は、その2~3割が経過を追うと双極性に転じるので注意が必要です。とくに20歳以前、あるいは20代で発病するうつ病の場合は、慎重に経過をみていく必要があります。
双極性障害はI型とII型に分けられます。その違いは、躁病相が中等症以上である(I型)か、軽躁であるか(II型)にあります。うつ病相は両者に違いはありません。
- 双極性障害の原因
- 双極性障害の原因はいまだ解明されていませんが、うつ病と同様、疾患脆弱性(ぜいじゃくせい)-病気になりやすい性質-をもつ人に、身体的あるいは心理的負荷がかかり、脳の機能のバランスがとれなくなると発病するとされています。
疾患脆弱性を規定する因子は複雑ですが、そのひとつに遺伝があり、双生児での一致率(一方が発病した場合、他方も発病する率)は8割ともいわれています。しかし、他の2割は遺伝以外の要因であり、遺伝と環境要因の両方で規定されると考えられています。
- 双極性障害の症状
- この病では、気分が落ち込み活動性が減少してしまい、自殺まで考えてしまう「うつ状態」と、気分が高ぶり活動性が異様に増大する「躁病」が繰り返されるという症状です。
躁状態になると、「自分が世界の支配者だ」といった感じに自信過剰になってしまったり、万引きをしたり、お金を無駄遣いしたり、短気になるなど、社会生活を著しく阻害してしまう症状に陥(おちい)りがちです。
また、「うつ状態」になると「自分は生きている価値がない人間だ…」などと考えてしまい、気分減退どころか、自殺を試みてしまうこともある症状もあります。