精神保健福祉法が改正されました

今年の4月1日から改正された精神保健福祉法についての通知が厚生労働省から発表されています。

令和6年4月から開始される取り組みのなかで特筆するものとして、

精神科病院における虐待防止に向けた取組の推進が明記されました。その骨子は、

  • 病院内で業務従事者による障害者虐待を発見した場合は、誰もが都道府県に通報しなければならない。
  • 業務従事者は、この通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。
  • 通報を受け、都道府県が必要と判断した場合、実地監査において、指定医は虐待を受けたと思われる患者の診察をすることがある。
  • 都道府県知事は、必要があると認める場合、病院の管理者に対して、報告や診療録等の提出を命じ、立入検査を行うことができる。また、改善計画や必要な措置を命じることができる。
  • 都道府県知事は、毎年度、業務従事者による障害者虐待の状況等について公表する。

というもので、職員の虐待を受けたと思われる患者を発見した者は、「誰でも」都道府県に通報することを義務付けるとなっています。

今回の改正精神保健福祉法の具体的な条文では

第四十条の三 精神科病院において業務従事者による障害者虐待(業務従事者が、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者について行う次の各号のいずれかに該当する行為をいう。以下同じ。)を受けたと思われる精神障害者を発見した者は、速やかに、これを都道府県に通報しなければならない。

一 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号。次号において「障害者虐待防止法」という。)第二条第七項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当すること。

二 精神障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、当該精神科病院において医療を受ける他の精神障害者による障害者虐待防止法第二条第七項第一号から第三号までに掲げる行為と同様の行為の放置その他の業務従事者としての業務を著しく怠ること。

2 業務従事者による障害者虐待を受けた精神障害者は、その旨を都道府県に届け出ることができる。

3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。

4 業務従事者は、第一項の規定による通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。

となっています。「誰でも」通報の義務があると法律に明記されていながら、不利益な取り扱いを受けない、のが「業務従事者」にのみ規定されているのは釈然としないものがありますが、当法人においてはサポートハウスとびらでご本人の名前を明かさないご相談を受けている経緯もあり、対応が可能かどうか検討しているようです。

 

 

最後までお読みいただいた方、ありがとうございます。

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